0歳児から始められる!食育のすすめ~食べ物を使った知育~
2023.05.15
コラム
子育てをする中で、お子様の将来について考えますよね。お子様にはいろいろな力をつけてほしい、そのために親ができることはなんだろうという考えから、読み聞かせをしたり、おもちゃを選んだり、習い事を始めたりする方が多いかと思います。
今回は「食育」について、その中でも「食べ物を使った知育」についてご紹介します。そもそも「知育」とはどういうことなのか、食べ物を使った知育遊び、おうちで実践する際のポイントについてご紹介します。
食べ物を使った知育とは?
知育は「三育」のうちのひとつ
子育て情報の中では度々使われる「知育」というキーワードですが、そもそもどんな意味なのでしょうか。
知育は、幼児教育3つの要素「三育」の中のひとつです。
・知育…能力、才能、知能を育てる。自分で考える力や主体的に行動する力なども含まれる。
・徳育…道徳的な考え方を育てる。
・体育…健康的な体、体力、運動能力を育てる。
“知”という文字のイメージから、知識や暗記などテストで測れるような学力を連想する方もいるかもしれません。しかし実際は、創造力・表現力・問題解決能力など、様々な要素があります。
食べ物を使った知育
赤ちゃん絵本や小さい子用の絵本には、食べ物や動物を題材にしたものが多いですよね。お子様の生活の中で、食べ物はとても身近であり、関心のあるものです。
食べ物を使った知育のメリットは、
- お子様がすすんで取り組める
- 五感(見る、聞く、触る、嗅ぐ、食べる)を刺激できる
- いろいろな学びに発展させることができる
などがあります。
「食べ物で遊ぶのはお行儀が悪いのでちょっと…」と思われた方もいるかもしれませんが、決して食べ物をおもちゃにするというわけではありません。あくまでも、お子様が関心を持ちやすい食べ物を話題の中心にしながら、様々な学びを展開していくのです。
食べ物に興味を持つ、「食べたい!」という気持ちをもつことは、「食育」のベースとなります。
楽しく食べる子どもに
子どもの肥満や極端なやせの増加、朝食を食べないことなどによる健康上の問題が増えてきていることから、平成16年に厚生労働省から、「楽しく食べる子どもに」という通知が出されました。簡単に言うと、「食育をもっと進めていこう」「家庭・保育・教育など、子どもが関わる全ての場で食育に取り組もう」というものです。
[参考]
『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~』 (概要) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長
(毎日の生活のなかで、子どもの気づきを大切にし、どのように支援したらよいかをまとめたもの。)
食べ物を使ったおすすめ知育遊び 4選
では、実際に取り組むとなると、どんなことをしたらよいのでしょうか。ここでは、食べ物を知育に使った実践を4つご紹介します。
食べ物で感触遊び(豆腐・野菜・果物など)
0・1歳のお子さんにおすすめの感触遊びです。0・1歳は積極的に五感を刺激したい時期ですので、ぴったりです。
見て認識する、触って感触を楽しむ、温度を感じる、においを嗅ぐ、(物によっては振ったりこすったりして音を楽しむ)など、楽しみ方はたくさんあります。
時期としては、離乳食後期頃からがよいでしょう。りんごや は丸ごとなら誤飲の可能性が低いですから、よく洗って、切らずに皮付きのまま丸ごと持たせてみましょう。感触やにおいなどをある程度楽しんだら、おうちの方が半分に切って、また持たせてあげましょう。そのくだものならではの香り、水分を感じるような触覚、なめた時の味の違いも分かります。豆腐を持たせるときは、握ってぐちゃぐちゃになることを予想して、汚れても良い服装で触らせたいですね。
料理のお手伝い(まぜる・ちぎるなど)
2・3歳になると、おうちの人がやっていることをまねしたいという気持ちから、料理に興味を持つ子が増えてきます。お子様が「やりたい!」と感じた時が始めどきです。お子様ができそうなお手伝いからさせてみましょう。
例えば、
- サラダのレタスやハムをちぎる
- マヨネーズやケチャップを入れる
- スプーンでまぜる
など、ちぎる・握る・まぜる動きは小さいお子様でもチャレンジしやすいと思います。
「どうしても包丁で切るお手伝いがしたい!」というお子様には、コンビニなどでもらえるプラスチック製のナイフやおままごと用のおもちゃ包丁を使わせるのがおすすめです。おもちゃでも、ソーセージやゆでたまごくらいなら切ることができます。手を切る心配もなく、お子様のやりたい気持ちも満たされますね。
野菜を育てる
近所に畑などがない地域のお子様にとって、野菜や果物はいつもお店に並んでいるものだと認識しているお子様も多いです。実は種や苗から育っていること、一生懸命育てている人がいることを認識できる機会を作ってあげましょう。毎日水やりをさせて、成長の過程を見ていくことで、少しずつ自分で育てた野菜に愛着がわきます。野菜に苦手意識があった子でも、自分が愛情を込めて育てた野菜なら、食べられることが多いです。
プランターなどでもチャレンジできる、ミニトマト、ピーマンなどの夏野菜がおすすめです。
スーパーや八百屋さんへ買い物に行ったとき「トマトだ!」「すいかがあるよ」とわかるようになってきたら、野菜や果物に興味を持っている、食材の名前を認識している証です。土を入れる、水をやるなどの指示がわかるようになった3歳頃からがおすすめです。まだなんでも口に入れようとする0・1歳頃だと、土を口に入れてしまうことが考えられますので、控えておきましょう。
言葉遊び
絵本の読み聞かせや絵本が大好きなお子様におすすめなのが、食べ物をテーマにした言葉遊びです。語彙が増えてくる3歳以降なら始められるでしょう。
①古今東西ゲーム・・・テーマに合った言葉を順に言っていきます。
「赤い食べ物といえば?」「甘い食べ物といえば?」「おにぎりの具といえば?」
②食べ物あいうえお・・・ひらがな50音表を食べ物で表します。
「あ、で始まる食べ物は?」「あいす!」「次は、い、で始まる食べ物。」「いちご!」
③連想ゲーム・・・前の人が言ったキーワードから連想される言葉を言っていく。
「バナナといえば、黄色」「黄色と言ったらレモン」「レモンと言えば、すっぱい」…
テーマを与えることで言葉のイメージが広がり、言葉に対する感覚が豊かになります。そして、同じ種類の食べ物(赤い食べ物は?りんご・トマト・いちご…)も思い浮かべるので、言葉の類別にも意識が向きます。
また、道具や食べ物がなくてもできるので、電車や車に乗っている時やちょっとした待ち時間にも楽しめますね。
食べ物を使った知育、こんなポイントに注意!
アレルギーに注意
食べ物を手に持たせるときには、必ず離乳食や幼児食で食べたことのあるものにしましょう。食物アレルギーがないことを確認した上で使ってください。
誤飲に気をつける
小さいお子様(特に0・1歳)はなんでも口に入れて確かめます。それも味覚や触覚を刺激するという学びのひとつです。
食べ物を手に持たせるときには、誤飲しない大きさのものを与えましょう。
一般的には、トイレットペーパーの芯を通過するサイズのものは、赤ちゃんが飲み込めるサイズと言われているので注意が必要です。
加熱の必要がない食材を使う
飲み込むことのできないサイズでも、かじりついたり、食材に触れた手を舐めたりすることが予想されます。肉や魚など加熱の必要があるものは使いません。野菜の中でも、じゃがいもやごぼうなど、生だと食べられないもの・渋みの強いもの・土のついているものは控えましょう。
子どもが関心をもったときが始めどき
どんな遊びも、お子様が興味をもったときが始めどきです。「やってみたい!」という気持ちは、集中力や探求心につながります。取り組み方はお子様の年齢や発達に合わせながら、できるだけ実践させてあげましょう。
監修・執筆
●制作・監修:ル・アンジェ
●執筆:ゆりなこ
小学校教諭、幼稚園教諭、子育て支援員、司書教諭。公立小学校教員として、15年の間に1500人以上のお子様や保護者と関わる。現在はその経験を活かし、「子どもへの指導についての研修講師」「教育や子育てについての記事執筆」「論作文の指導や添削」を中心に活動中。心理学・保育・子育て支援についても学びを深める。自身も子育て中(小学校低学年と年長の娘)のママでもある。